各がんの診療内容

肝臓がん

肝臓がんについて

肝臓がんについて

消化器外科では、各種肝疾患に対して肝臓内科、放射線科と連携を取りながら、患者さんにとって最も有効と考えられる治療を行います。

肝腫瘍とは

肝腫瘍は(1)良性腫瘍、(2)悪性腫瘍に分類されます。

良性腫瘍には肝のう胞、肝血管腫などがあります。これらの多くは症状がなければ手術の適応になりません。

悪性腫瘍は(1)原発性肝がん、(2)転移性肝がんに分類されます。

原発性肝がんはさらに肝細胞がん、胆管細胞がん、その他に分類されますが、そのほとんど(約90%)は肝細胞がんです。わが国では、肝細胞がん発生の背景にウイルス性の慢性肝炎、肝硬変の合併が多いことが特徴で、B型肝炎が約13%、C型肝炎が46%に認められます。しかし最近、ウイルス性肝疾患を有しない肝細胞がんの患者さんが増えています。

転移性肝がんは他臓器(胃、大腸など)のがんが肝臓に転移したものです。原発巣の部位、進行度、治療状況などにより、治療方法や治療成績がちがいます。

肝腫瘍の症状

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、腫瘍そのものによる症状がなかなか現れません。腫瘍が5cmを超えて大きくなると、発熱・疼痛・黄疸などの症状がみられることがあります。肝細胞がんでは全身倦怠感、食欲不振などの肝硬変の症状が前面に出ることがあります。

肝臓がんの治療

原発性肝がんの治療

ここでは原発性肝がんの大半を占める肝細胞がんの治療方法について説明します。

肝細胞がんの主な治療として(1)肝動脈塞栓術、(2)ラジオ波焼灼術、(3)肝切除、(4)肝移植 の4つが考えられます。これら治療法の選択は(1)肝機能(肝臓の余力)、(2)腫瘍の進行度(腫瘍数、大きさ、部位など)、(3)全身状態、などを評価し、患者さん自身の希望を尊重して決定されます。肝臓がん診療ガイドラインでは、腫瘍数が1~3個で肝機能良好例が切除の適応とされています。

肝硬変では肝臓の余力が少なくなります。余力を超えて肝臓を切ることはできません。治療法を決定するためには、肝臓の余力を正確に把握することが重要です。

転移性肝がんの治療

現時点では、大腸がんからの肝転移巣は切除の良い適応と考えられています。大腸がん患者さんのほとんどは肝硬変がなく、元の大腸がんが確実に治療されている場合、あるいは治療可能な場合は肝転移巣を積極的に切除することにより治癒が期待できます。

正常の肝臓が30%以上残ればがんの大きさ、数にかかわらず切除することができます。

入院期間

通常の場合、手術の前日に入院し、術後は肝臓を切る範囲、手術前の状態によって若干異なりますが、通常8~14日間の入院が必要です。これは、全国平均(14~19日)と比べ短く、早い社会復帰が見込まれます。ただし術後に合併症が起こった場合にはそれよりも入院期間が長くなることがあります。

手術成績

原発性肝がん(肝細胞がん)

消化器外科における2001年から2020年までの肝細胞がんで、初回肝切除を受けられた患者さん419名の進行度別(Stage別)の生存率(%)は以下の通りです。

Stage患者数1年生存率3年生存率5年生存率10年生存率
9095.589.281.748.6
19293.783.468.646.6
9494.678.262.133.9
4378.958.142.425.0

なお、約93%の患者さんで赤血球輸血を行わない手術が可能でした。

転移性肝がん(大腸がん肝転移)

2001年から2020年にまでに大腸がんの肝転移で肝切除を受けられた197例の5年生存率は53.9%でした。

大腸がんは肝臓に転移したからといって決してあきらめてはいけません。

最後に

がんの進行度、部位などにより肝切除の難易度は異なります。しかしながら手術器具・術後管理の進歩などにより、肝切除もそのほかの手術と同様に安全に行うことができるようになりました。さらに大腸がんからの肝転移では抗がん剤の進歩などもあり、その成績は飛躍的に向上しています。

お困りのことがありましたら、かかりつけの先生にご相談の上、紹介状をお持ちの上ご来院ください。

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