各がんの診療内容

卵巣には多種多様な種類(組織型)の腫瘍が発生します。その大半は表層上皮性・間質性腫瘍で、このうちの悪性の腫瘍を通常卵巣がんと呼んでいます。現在、年間9000人程度が発症し、増加の一途をたどり、死亡数は4500人を超えています。
症状に乏しく、卵巣がんは「サイレントキラー(無言の殺人者)」と称されています。通常、おなかが張る(腹部膨満感)、最近太った(スラックスが入らなくなった)という訴えが早期からみられます。通常、卵巣がんは大きな腫瘍をつくるため、内科や外科での超音波検査でもコブ(骨盤内腫瘍)の存在がわかります。不正出血は通常、起こりません。
このように症状に乏しいことより、卵巣がんは見つかったときには60%以上の人は進行がんです。
卵巣は骨盤内の深いところにあるため、がんの広がり方を手術前に正確に知ることは難しく、手術によって腹腔内を詳しく観察し、摘出した腫瘍を検査したのち進行期を分類します。進行期はⅠ期からⅣ期までに分かれ、この分類に基づいて治療法を決定します。

がんが卵巣だけにとどまっている状態

がんが骨盤内に進展した状態、
すなわち子宮や卵管、直腸・膀胱の
膜などに広がっている状態

がんが骨盤腔を越えて、
上腹部の腹膜、大網、小腸などに転移しているか、
リンパ節などに転移している状態

がんが肝臓や肺などに転移している状態(遠隔転移)
卵巣がんが疑われる場合は、まず開腹手術をして卵巣腫瘍を摘出します。このときに行われる手術は「付属器切除」といい、腫瘍ができている側の卵巣と卵管をすべて摘出します。そして、手術の最中に病理検査(術中迅速病理検査)を行い、良性か悪性かを判断します。
術中迅速病理検査で良性と判断された場合には、付属器切除のみで治療は終了します。しかし、境界悪性あるいは悪性と診断されたら、さらに手術が続きます。
悪性の場合の手術は「両側付属器摘出術+子宮摘出術+大網切除術」を基本とし、これに加えて腹腔細胞診、腹腔内各所の生検(組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)、後腹膜リンパ節の廓清(取り除くこと)または生検を行って、がんの広がり具合を診断します。
以上の手術を行ったのち、病理検査により腫瘍の組織型と分化度(悪性度:低分化、中分化、高分化型)の診断および正確な進行期を決定します。高分化型のがんであり、かつ腹腔にがん細胞を認めないⅠ期の場合は手術療法のみで経過をみますが、それ以外の場合は術後に化学療法が行われます。
| 平成25年 例数 | 平成26年 例数 | 平成27年 例数 | |
| Ⅰ期 | 11+(11) | 8+(10) | 10+(9) |
| Ⅱ期 | 1 | 3 | 2 |
| Ⅲ期 | 6 | 4 | 10 |
| Ⅳ期 | 3 | 1 | 0 |
( )境界悪性腫瘍
| 5年生存率 | |
| Ⅰ期 | 90.5% |
| Ⅱ期 | 73.3% |
| Ⅲ期 | 47.8% |
| Ⅳ期 | 30.2% |
「患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドラインの解説」(金原出版株式会社)から引用・改編
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