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膀胱尿管逆流症

膀胱尿管逆流症(VUR)とは?

VURとは、膀胱にたまった尿が尿管・腎盂に逆流する現象で、膀胱尿管の逆流防止のしくみが弱いために発生する先天性の疾患です。

繰り返す細菌尿の逆流により腎盂腎炎を発症することが多く、高いグレードのVURが存続し、腎盂腎炎を繰り返せば、腎の瘢痕形成、タンパク尿、腎性高血圧症、腎機能低下となるため、医学的介入が必要となります。

膀胱尿管逆流の程度 ; 国際分類

膀胱尿管逆流症(VUR)の特徴は?

  • VURは最も一般的な尿路の先天異常で、新生児の約1%に認められます。
  • 家族内発生率が高く(30~50%)、排尿・排便機能の成熟と深く関連するため自然治癒率が高い、という特徴があります。
  • 近年、排尿機能発達異常・排便習慣異常が乳幼児期の原発性、続発性VURと深く関連することが指摘されています。
  • 2010年の米国泌尿器科学会ガイドラインでも、1歳以上のVURでは、「診察で排尿回数の異常・尿意切迫感・昼間尿失禁・尿保持姿勢(排尿我慢姿勢)・陰部痛・便秘・便失禁について評価すること」が標準方針(standard)として推奨されており、また外科的治療の前に排尿、排便の治療を優先することが推奨方針(option)として提唱されています

VURの頻度とその自然史は?

  • 新生児の約1%
  • 排尿・排便機能の成熟と深く関連し、自然治癒率は高率
  • 発見年齢が低い、グレードが低い、片方のみの場合など、特に消失率が高く、ごく軽い(グレードⅠ)、片方のみの逆流が一歳未満でみつかった場合、自然改善が十分期待され、すぐに手術をおこなう必要はないと考えられます。
VURの自然治癒とグレードの関係

グレードⅡ/10年で90%

    Ⅲ/10年で80%

    Ⅳ/5年で30%、10年で50%

(グレードⅤの場合、自然治癒は期待できません)

Deflux®注入療法とは?

  • Deflux®とは、ヒアルロン酸/デキストラノマーからできた製剤で、 Deflux®注入療法とは経尿道的に内視鏡でDeflux®を注入してVURを消失させる、お腹を開けない手術のことです。
  • 安全で低侵襲な治療法として、1990年代から欧米をはじめとする世界中で広く施行されており、第一選択となっています。
  • 本邦でも2010年から保険診療で施行可能となり、現在では広く普及し、外科的治療の第一選択として推奨されています。

VURの治療法の選択は?

  • 本邦では抗菌薬の長期予防投与や根治的な治療法として開腹での観血的逆流防止術が行われてきました。開腹手術は成功率は高いが、侵襲度が大きくて入院が長いことが問題となっていました。
  • Deflux®療法は開腹と比べて格段に侵襲が少なく、入院は短いため、患児やご家族が希望されることが多い術式です。しかし、開放・腹腔鏡手術に比べて逆流消失率は劣るという短所があります。
抗菌薬長期予防投与
開腹手術Cohen法
Deflux®注入療法

Deflux®注入療法の機序は?

尿管が膀胱壁をつらぬく部位(膀胱尿管移行部)の逆流防止のしくみが弱いために発生するため、Deflux®で尿管口の支持組織を強固にし、逆流防止のしくみを強くすることで逆流を防ぎます。

1-2. Proximal and distal intraureteric implantation (Double Hit)
3. Sting

Deflux®注入療法の治療効果は?

治療効果は、グレードや患者年齢、注入方法、施設により異なります。

Deflux®注入療法のグレード別逆流消失率(初回治療の術後3カ月)

グレードⅡ/70~90%

    Ⅲ/60~80%

    Ⅳ/40~70%

(術後3カ月でのVUR残存例には、再度の内視鏡的注入術を検討します)

概して逆流の程度(グレード)が強いほど治療効果は低くなります。しかし、再発例に対して再度、注入療法を行うことも可能です。

Deflux®注入療法の適応は何ですか?

  • 保険診療上の適応は、一歳以上のグレードⅡ~Ⅳです。
  • 手術の適応は従来の開腹手術と同じで、Deflux®、開腹、腹腔鏡手術のいずれを行うかは、逆流の程度(グレード)や年齢、排尿症状・排便症状の残存の有無、ご本人・ご家族の希望などをから、相談の上で決めます。

一歳未満のグレードⅡ~Ⅳや、幼小児以降のグレードⅤでは、
ご本人・ご家族の希望などをもとに治療法を相談して決めます。

Deflux®注入療法の実際の方法は?

  • 全身麻酔下で、砕石位で手術を開始します。
  • 尿道から、膀胱鏡(小児の場合、小児専用の細径膀胱鏡)という細いカメラを膀胱内まで挿入します。尿管口を観察後、膀胱鏡の中に細く長い注入専用の針を挿入し、尿管口の内側(壁内尿管)や尿管の出口付近にDeflux®を注入します。注入量は1ml前後です。左右の両側とも逆流があれば、左右同時に注入することが可能です。
  • 注入に要する時間は15~30分です。逆流の程度や尿管口の形態などで時間がかかることもあります。

Deflux®を尿管口の内側(壁内尿管)や尿管の出口付近の6時に注入し、支持組織を強固にし、広く開いた口を狭められるようにします。

注入専用の針(デフラックスメタルニードル)

注入のイメージ図

Deflux®注入療法の合併症はありますか?

  • Deflux®を尿管口の内側(壁内尿管)や尿管の出口付近の6時に注入し、支持組織を強固にし、広く開いた口を狭められるようにします合併症としては、肉眼的血尿、排尿痛や頻尿、注入による有熱性尿路感染症、尿管閉塞による水腎症や背部痛、腹痛などが周術期に認められることがあります。
  • いずれの合併症も重篤なものは概して少なく、対症療法などの保存的治療で対応可能と考えられています。
  • 中長期的には、術後のVUR再発や再発による有熱性尿路感染症(腎盂腎炎)、対側尿管の新規VUR出現などがあります。

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