頭蓋咽頭腫
頭蓋咽頭腫とは
眼の奥に脳下垂体という組織があり、ここからはいろんなホルモンが分泌されています。
- 成長ホルモン(身長をのばす)
- 性腺ホルモン(男性ホルモンや女性ホルモンをつくるためのホルモン)
- プロラクチン(乳腺を発達させる)
- 甲状腺刺激ホルモン(甲状腺ホルモンのコントロール)
- 副腎皮質刺激ホルモン(副腎でつくられるステロイドをコントロール)
- 抗利尿ホルモン(尿量を調節する) など
下垂体はこのように大事なホルモンを分泌する組織ですがここにはいろいろな腫瘍ができることがあります。その多くは良性腫瘍です。
頭蓋咽頭腫はこれら下垂体にできる良性腫瘍のひとつです。
腫瘍の性質としては良性ですが、発生する場所により、悪性の経過をたどる(命にかかわる)ことがあります。
この腫瘍は下垂体の茎の部分から発生し、周りの脳や神経を圧迫して症状が生じます。


大人にも子供にもできる腫瘍で、子供の脳腫瘍では多い腫瘍です。
頭蓋咽頭腫の症状
頭蓋咽頭腫による症状には
1)視力障害、視野障害
腫瘍が視神経を圧迫して目が見えなくなります。
2)下垂体機能障害
下垂体が腫瘍に圧迫されて下垂体ホルモンの分泌が悪くなります。
子供の場合、低身長(身長が伸びない)の原因であることがあります。
急にトイレに行く回数が増える(尿崩症:1回の尿量も多く、回数も多い)
疲れやすくなる
月経が止まる
3)頭痛、意識障害
頭の中の水(脳髄腋)の通り道が腫瘍でふさがれて水が脳にたまり(水頭症)、頭痛や吐き気、嘔吐が生じさらには意識障害が生じます。
高齢者の場合、急に認知症が進んだようにみえることもあります。
頭蓋咽頭腫の治療
この腫瘍には効く薬がありません。ですから治療はまず可能な限り手術で腫瘍を摘出することです。
手術の方法には開頭手術と経鼻的手術があります。
腫瘍の大きさや発生している場所により開頭手術がよいか、経鼻的手術がよいか判断されます。
開頭手術
頭を切って、脳の隙間から腫瘍を摘出します。
手術の操作範囲が広いので大きな腫瘍に適します。
経鼻手術
鼻の穴から手術します。脳をさわらずに手術ができることが利点ですが操作範囲は狭いので大きな腫瘍には適しません。

全摘出できればいちばんよいのですが、腫瘍が下垂体茎から発生するため、全摘出すると下垂体の機能が失われることも多いです。
放射線治療が有効なことも多いため、腫瘍をできるだけ摘出して残存腫瘍に放射線を照射することもあります。
腫瘍が全摘出できて下垂体機能も残るのが最高ですが、必ずしもそうはならないため、全摘出してホルモン補充療法を行う場合と腫瘍を一部残して放射線照射を行う場合と2つの治療方針が存在します。
どちらがよいかは患者さんごとに判断することになります。