先端巨大症
先端巨大症とは
先端巨大症とは、脳下垂体に腫瘍ができて腫瘍から成長ホルモンが大量に分泌されるために生じます。腫瘍は良性腫瘍です。
成長ホルモンは肝臓や骨に作用してソマトメジンCというホルモンが分泌されます。
成長ホルモンが異常に多く分泌されるためにこのソマトメジンCというホルモンも異常に多く分泌され、その結果様々な症状が生じます。
先端巨大症の症状
- 手足が大きくなる。
- 顔貌の変化が生じる。(眉弓の突出、口唇が厚くなる。)
- 声が低くなる。
- 舌が大きくなる。→いびきをかくようになる。
睡眠時無呼吸症候群の原因になる。 - 手がしびれる。(手根管症候群)
- 血圧が上がる。
- 糖尿病になる。
- 心臓病になる。
- 癌になりやすい。(特に大腸癌)
成長ホルモン過剰症により糖尿病、高血圧などが生じ心疾患などにより健常な同年代の人より数倍死亡率が上昇します。
治療することにより、上記の諸症状が改善します。糖尿病が治ることもあります。
先端巨大症の治療法
- まず、手術を行います。
- 手術で治りきらない場合には薬の治療を行います。
- 薬の治療では症状を改善することはできますが完治はできません。
- 放射線治療を行うこともあります。
手術療法
- ほとんどの場合、鼻の穴から手術を行うことができます。(経鼻的手術)
- 傷は外からみえません。
- 手術時間は通常2~3時間程度です。
- 入院期間は手術前が3日間程度、手術後が1週間程度で合わせて10日間程度です。
期待できる治癒率
腫瘍が周りの組織にしみこんでいない場合、腫瘍の大きさが10mm程度であれば手術による治癒率は90%以上です。10mm以上の場合は治癒率は70~80%です。
しかしながら、腫瘍がまわりの組織にしみこんでいる場合には治癒率は50%以下に低下します。全体では70%程度です。
治癒に至らなくてもホルモン値は低下します
ホルモン値が正常より少し高い程度であれば薬物療法や放射線療法が不要であることもあります。
ホルモンが正常化せず、数値が高い場合には手術後に薬物療法や放射線療法(ガンマナイフ)が必要になります。
手術の危険性(合併症)について
経蝶形骨洞手術における重篤な合併症(死亡、寝たきりなどの)発生率は1%以下です。
軽微なものも含めた後遺症が生じる危険率は約2~3%です。
輸血は通常不要です。
薬物療法
成長ホルモンを低下させるための薬が内服薬と注射薬であります。
内服薬(パーロデル®)は安価ですが効果(正常化率)は10%程度です。
注射薬は2種類あり下垂体に直接作用して成長ホルモンを低下させる作用の薬(サンドスタチン®、ソマチュリン®)があります。これらの薬の効果(正常化率)は50~70%程度です。これらの薬には成長ホルモンを低下させるだけでなく腫瘍を小さくする効果もあります。そのため、手術の前にこの薬を使うこともあります。
その他には成長ホルモンが肝臓に作用するのをブロックしてソマトメジンCの分泌を低下させる薬(ソマバート)もあります。この薬の効果は70~80%といわれています。
ソマバートには成長ホルモンを下げる作用はありません。
これらの薬ではホルモン分泌をコントロールすることは出来ますが腫瘍をなくすことはできません。つまり、治すことはできません。薬で抑えるということになりますので現時点ではこれらの薬は生涯使う必要があります。
これら注射薬はいずれも非常に高価な薬です。通常の保険診療では1ヵ月の医療費が10万円をはるかに超えます。しかし、この病気は国の難病に指定されているので申請手続きをすることにより医療費がご家庭の収入に応じて補助されます。
放射線療法
ガンマナイフ、サイバーナイフ、ノバリス という器械による治療法がよく使われます。放射線療法の効果が出てくるのは照射後3~5年経過してからのことが多いです。また正常化率は60%~80%程度です。
難病指定について
この病気は国の難病に指定されています。
必要な検査を行い、書類をお住まいの地区の保健センターあるいは保健所に提出すると国の審査を経て3ヵ月程度で認定証が届きます。
ご家庭の収入に応じて程度が異なりますが治療費の補助があります。
治療費の補助は書類を提出した日以降の医療費について適応されます。
提出日以前の医療費には適応されません。毎年9月末に書類を提出して更新する必要があります。