空白をクリックすると
メニューが閉じます

耳鼻咽喉科・頭頚部外科 

診療科紹介
スタッフ紹介
実績紹介
教育・研修活動、認定施設
外来診療担当医表
県立広島病院における中耳手術について
耳鼻科疾患について

診療科紹介

科の特色

当科は中耳・鼻副鼻腔手術を中心とした診療を行っています。鼓膜形成術や換気チューブ留置術、声帯ポリープ切除術など外来日帰り手術を積極的に行い、鼻副鼻腔手術ではナビゲーションシステムを導入し、安全性を高めています。安心して治療を受けていただけるよう、丁寧な説明と心のこもったケアを心がけています。お気軽にご相談ください。 

診療科の概要や治療方針

耳鼻咽喉科・頭頚部外科は、耳の病気(難聴、中耳炎、めまい)や鼻・副鼻腔の病気(副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎)を中心に、耳鼻咽喉科全般の診断と治療を専門とする診療科です。 

当科は広島医療圏における耳鼻咽喉科サージセンター(全身麻酔を用いた鼻科手術を短期入院(1泊から2泊)で行う手術治療専門施設)を目指しており、中耳手術(慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎)、鼻・副鼻腔手術の症例数、治療成績は、全国トップレベルを維持しています。鼓膜形成術、鼓膜換気チューブ留置術、鼻・副鼻腔手術、声帯ポリープ切除術等での外来日帰り手術も積極的に行っています。鼻・副鼻腔手術では手術支援機器としてナビゲーションシステムを導入し、より安全な手術を行っています。 

頭頚部がん治療では、形成外科、口腔外科、放射線診断科・治療科と連携することにより、機能温存を目指しています。 

対象疾患(対象とする疾患や症状)

  • 急性感音難聴〔突発性難聴、低音障害型感音難聴、音響外傷、薬剤性など〕、慢性・変動・進行性感音難聴〔メニエール病、老人性難聴、など〕、混合性難聴〔耳硬化症など〕など) 
  • 中耳炎(慢性中耳炎〔鼓膜穿孔、化膿性中耳炎、真珠腫性中耳炎など〕、中耳炎術後症〔鼓室形成術後の難聴残存、乳突洞削開術後のcavity problemなど〕、伝音難聴〔耳小骨奇形・固着など〕、外耳道閉鎖・小耳症、側頭骨腫瘍、混合性難聴〔耳硬化症・中耳炎後遺症など〕、など) 
  • 鼻副鼻腔疾患(慢性副鼻腔炎、術後性副鼻腔嚢胞、鼻副鼻腔乳頭腫などの良性腫瘍、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、など) 
  • 顔面神経麻痺〔ベル麻痺、ハント症候群、外傷性〕など) 
  • のどの病気(声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯、声帯溝症、声帯萎縮、反回神経麻痺、喉頭腫瘍、喉頭肉芽腫、喉頭白板症、喉頭外傷、咽喉頭異常感症、咽頭腫瘍、気管狭窄、甲状腺疾患、嚥下障害など) 
  • めまい外来(メニエール病、良性発作性頭位めまい症〔BPPV〕、前庭神経炎、めまいを伴う突発性難聴、遅発性内リンパ水腫、聴神経腫瘍、椎骨脳底動脈循環障害、頚性めまい、心因性めまい、など) 

診療内容

  • 耳(耳痛、耳だれ、耳閉感、耳鳴、難聴、音の響き、言葉の聞き取り困難)、鼻(くしゃみ、鼻水、鼻閉、嗅覚障害、鼻出血、頬部痛・腫れ)、のど(咽頭痛、嚥下困難、嚥下時むせ、開口障害、口腔腫脹、咽喉異物感、嗄声、発声困難)、頭頸部(顔や首の腫瘤)、神経症状(めまい、ふらつき、眼閉不全、口腔内容のこぼれ、顔面麻痺)、睡眠時症状(いびき、睡眠時無呼吸)など多様な症状に対応し、耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域全般の疾患を対象としています。 
  • 外来処置や小手術(耳処置、鼻処置、鼻出血止血、鼓膜穿刺・切開、副鼻腔穿刺・洗浄、耳管通気等)から、気道確保、包帯法、局所麻酔、創部消毒やガーゼ交換、切開排膿、皮膚縫合、鼻骨骨折や顔面外傷の処置に至るまで幅広い施術を行い、さらに純音聴力検査・語音聴力検査・耳音響放射(OAE)・聴性脳幹反応(ABR)・聴性定常反応検査(ASSR)などによる聴覚評価を実施しています。 

検査内容

聴覚機能検査、平衡機能検査、喉頭内視鏡検査超音波検査、CT、穿刺吸引細胞診、頭頸部MRI・MRA、鼻腔通気度検査 

当院の特徴的な医療(当院医師の専門分野、得意とする分野)

  • 鼓室形成術、顔面神経減圧などの中耳科手術や、聴力改善手術(中耳炎・真珠腫・耳硬化症)、外リンパ瘻手術など幅広く行います。
  • 鼻中隔弯曲症に対して鼻閉改善目的で手術をされる約半数の方に前方の弯曲(鼻中隔前弯)を認めます。この場合、一般的に行われているKillian法という術式では鼻閉を十分に治すことはできません。当科では鼻中隔前弯に関する評価方法および術式を独自に開発し、良好な成績を収めています。 
  • 突発性難聴に対して高気圧酸素治療を行っています。
地域医療の先生方へ
  • (月、水、金)曜日で予約紹介を地域連携センターを通して受け付けております。 
  • 救急対応が必要な場合、あるいは(火、木)曜日の受診を希望される場合は、耳鼻咽喉科外来までご連絡をお願いします。 

スタッフ紹介

平位 知久

平位 知久

主任部長
専門領域
内視鏡下鼻内手術
認定資格等
日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会専門医
日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会代議員
日本鼻科学会鼻科手術暫定指導医
日本鼻科学会代議員
日本耳鼻咽喉科学会専門研修指導医
臨床研修医養成講習会修了
広島大学医学部臨床教授
第76回耳鼻咽喉科臨床学会 学会賞受賞
呉 奎真

呉 奎真

部長
専門領域
中耳手術
認定資格等
日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門医
日本耳鼻咽喉科学会専門研修指導医
補聴器相談医
第33回日本耳科学会ポスター賞
臨床研修医養成講習会修了
世良 武大

世良 武大

部長
認定資格等
日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門医
TNT研修修了
臨床研修医養成講習会修了
日本嚥下医学会 嚥下相談医
第63回 日本鼻科学会 若手優秀発表賞 受賞
二階堂 靖訓

二階堂 靖訓

副部長
升賀 温子

升賀 温子

医員
山田 絵美

山田 絵美

医員
福島 典之

福島 典之

診療顧問
認定資格等
日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門医
日本耳科学会耳科手術暫定指導医

実績紹介

入院症例数

項目 \ 年度R5年度
(2023)
R6年度
(2024)
中耳手術190例182例
鼻副鼻腔手術279例292例
咽喉頭・気管手術268例254例
頭頚部手術65例58例
合計802例786例
その他40例42例
合計794例807例

手術症例数(日帰り手術36例)

項目 \ 年度R5年度
(2023)
R6年度
(2024)
中耳手術190例182例
鼻副鼻腔手術279例292例
咽喉頭・気管手術268例254例
頭頚部手術65例58例
合計802例786例

(中耳手術の詳細についてはこちらを【広島市医師会だより平成18年2月号より】)

教育・研修活動、認定施設

  • 当院は、臨床研修指定病院で、かつ日本耳鼻咽喉科学会の認定施設でもあります。
  • 当科では、毎日の外来新患のカンファレンスと週1回の病棟カンファレンスを行い、学会・研究会に演題を発表し医学研究活動を積極的に行っています。

論文発表(2004年以降)

原著

症例報告

  • 肥厚性鼻炎に類似した所見で初発した節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型.耳鼻咽喉科臨床119:83-88,2026. https://doi.org/10.5631/jibirin.119.83
  • 緊急外眼角靭帯切離術が視力回復に寄与した遅発性外傷性眼窩内血腫の1例.日本鼻科学会誌 63: 233-238, 2024. doi.org/10.7248/jjrhi.63.233
  • 外頸静脈血栓症を契機に判明した横行結腸癌の1例.広島医学76: 129-132, 2023.
  • Peritonsillar abscesses in infants requiring intratracheal intubation: Two case reports. Otolaryngology case reports; 24: doi.10.1016/j.xocr.2022.100454
  • COVID-19に対する挿管後に両側声帯固定と声門下肉芽を来した1例.広島医学75:334-337, 2022.
  • 両側の耳下腺囊胞から診断に至ったHIV感染症の1例.耳鼻咽喉科・頭頸部外科93:649-653, 2021. doi.org/10.11477/mf.1411202767
  • 外耳道皮下腫瘍の4例.広島医学74:238-242, 2021.
  • 側頭骨に発生した髄外性形質細胞腫例.広島医学,74:424-428, 2021.
  • 急性中耳炎に合併したS状静脈洞血栓症の1例.広島医学73:393-397, 2020.
  • 特発性髄液漏の1例.広島医学73:472-475, 2020.
  • 耳かき外傷によりアブミ骨損傷をきたした2症例.広島県立病院医誌52:7-11, 2020.
  • 多発性先天性真珠腫の1例.Otology Japan 29:58-63, 2019. doi.org/10.11289/otoljpn.29.58
  • 鼻腔に発生した血管周皮腫の1例.広島県立病院医誌51:23-28, 2019
  • 鼻腔に発生した筋上皮癌の1例.広島県立病院医誌51:29-34, 2019
  • 鼻中隔前弯を伴う斜鼻に対して鼻骨骨切り術と鼻中隔矯正術の一期的手術を行った1例.耳鼻咽喉科・頭頸部外科87:1141-1146, 2015. doi.org/10.11477/mf.1411200792
  • ANCA関連血管炎性中耳炎の2例.耳鼻咽喉科臨床 107:773-781, 2014. doi.org/10.5631/jibirin.107.773
  • 内視鏡下鼻内手術後に病態が判明した原発性線毛運動不全症の2例.日本鼻科学会誌 52:137-142, 2013. doi.org/10.7248/jjrhi.52.137
  • 両側先天性真珠腫の1例.頭頸部外科 21:41-45, 2011. doi.org/10.5106/jjshns.21.41
  • 慢性中耳炎を基礎とした側頭骨嚢胞の1例.Otology Japan 21:207-211, 2011. doi.org/10.11289/otoljpn.21.207
  • 喉頭蓋原発NK/T細胞リンパ腫の1例.日本耳鼻咽喉科学会会報 114:814-819,2011. doi.org/10.3950/jibiinkoka.114.814
  • 声門上原発平滑筋肉腫の1例.広島県立病院医誌 40:55-58, 2008.
  • 口腔底原発類基底細胞癌の1例.耳鼻咽喉科・頭頸部外科79:579-1581, 2007. doi.org/10.11477/mf.1411101117
  • 入院診療計画書におけるテンプレートの運用と問題点.広島県立病院医誌 38:27-31, 2006.
  • 肝細胞癌を含む三重複癌の3症例.広島県立病院医誌 37:85-90, 2006.
  • 【呼吸器疾患】感染を契機とした上気道閉塞により急速に肺性心を呈した2症例.小児科臨床 57:1811-1815, 2004.

著者等出版物

  • 手術手技セミナー 鼻副鼻腔手術−私の工夫 鼻中隔前弯の評価方法と術式選択.耳鼻咽喉科臨床 補159:49, 2022. doi.org/10.5631/jibirinsuppl.159.
  • 鼻・副鼻腔の腫瘍疾患:良性腫瘍.標準耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 第4版.pp 197-199, 2022.
  • アドバンスエナジーがもたらす口蓋扁桃摘出術のアウトカム向上. 日本耳鼻咽喉科学会会報 125:658-659, 2022. doi.org/10.3950/jibiinkotokeibu.125.4_658
  • 局所麻酔で行う外鼻と鼻腔の小手術. ENTONI 264:32-37, 2021.
  • はなづまりの手術方法 -鼻中隔矯正術について-. ENTONI 241:61-66, 2020.
  • ~私の治療方針・耳鼻咽喉科医の立場から~ 多系統萎縮症(MSA).嚥下医学8:59-61, 2019.
  • 耳鼻咽喉科からの「良性発作性頭位めまい症」.広島市内科医会会報 78:36-41, 2016.
  • よくわかる鼓室形成術~特別な症例に対する鼓室形成術, 小児~.JOHNS 29:227-230, 2013
  • 見落としやすい耳鼻咽喉科疾患 Ⅰ.耳 1.先天性真珠腫.ENTONI 157:1-5,2013.
  • 小児の耳鼻咽喉科108の疑問 先天性真珠腫は急いで手術すべきか? JOHNS 28:350-351, 2012.
  • 他科に聞くシリーズ「良性発作性頭位めまい症」広島県内科会会誌 12:44-48, 2011.
  • 中耳炎・いつ手術にふみきるか~私の決断~.慢性穿孔性中耳炎.ENTONI 101:15-21, 2009.
  • 耳鼻咽喉科処置の有用性~慢性中耳炎術前・術後の処置~.耳鼻咽喉科臨床101:488‐489, 2008. doi.org/10.5631/jibirin.101.488
  • 眼窩底骨折の手術適応および手術時期をどう決めるか? ―保存的治療の立場から―.JOHNS 22:1489-1493, 2006.
  • 耳漏の診断と治療(急性中耳炎の耳漏).ENTONI 62:26-32, 2006.
  • 唾液腺由来の筋上皮腫、悪性筋上皮腫のCT、MRI.画像診断25:898-901, 2005.

外来診療担当医表

受付時間
予約のある方 8:30~17:15
予約のない方 8:30~11:15
備考
当院は予約を原則としておりますので、予約がない場合は、待ち時間が長くなることがあります。また、手術日は診察をお受けできないことがあります。
お問い合わせ
082-254-1818

耳鼻咽喉科・頭頚部外科

※火曜日、木曜日は手術日の為、救急を要する方以外は原則として初診の方を受け付けておりません。また、月、水、金曜日に関しても受診を希望される方が非常に多く、ご予約されている方以外は長時間お待ち頂くことになりますので、ご了承ください。

* 紹介枠がある外来

受付診察室区分
C1午前平位*平位平位*呉*
午後平位*平位
2午前升賀*山田(絵)二階堂*升賀升賀*
午後担当医二階堂担当医
3午前世良*世良*世良*
午後世良世良担当医
4午前二階堂*呉*山田(絵)*
午後二階堂福島

県立広島病院における中耳手術について

はじめに

平成13年4月に筆者が県立広島病院耳鼻いんこう科・頭頚部外科に赴任して以来、「中耳手術」を一つのテーマとして取り組んできた。昨年12月までの4年9ヶ月で中耳手術の件数は700件を超え、中・四国地区では最も多い症例数となっている。今回、このページをお借りして、当科で行われている中耳手術の現況について報告させていただくこととする。

手術症例の内訳

平成13年4月に筆者が県立広島病院耳鼻いんこう科・頭頚部外科に赴任して以来、「中耳手術」を一つのテーマとして取り組んできた。昨年12月までの4年9ヶ月で中耳手術の件数は700件を超え、中・四国地区では最も多い症例数となっている。今回、このページをお借りして、当科で行われている中耳手術の現況について報告させていただくこととする。

鼓膜形成術か鼓室形成術か?

慢性化膿性中耳炎や外傷性鼓膜穿孔、チュービング後鼓膜穿孔に対しては鼓膜形成術と鼓室形成術の二つの術式がある。鼓膜形成術は耳後部を約1cm切開し移植組織を採取し、耳内より鼓膜穿孔縁を新鮮化し、採取した移植片で鼓膜裏面から接着、閉鎖する方法である。手術侵襲が少ないため日帰り手術も可能であるが、鼓室形成術に比べ鼓膜穿孔閉鎖率にやや難がある。このため当科では以下のごとく鼓膜形成術の適応を厳格に行い手術成績の向上を図っている。

鼓膜形成術(接着法)の適応

  1. パッチテスト良好であること
  2. 鼓膜輪が残存していること
  3. ツチ骨柄が露出していないこと
  4. 穿孔部が顕微鏡下で明視できること
  5. 耳鏡内での手術操作が可能な外耳道の広さがあること

以上に該当しない症例は従来通りの鼓室形成術とするため約2週間の入院期間を必要とする。鼓膜形成術での鼓膜穿孔閉鎖は96耳中90耳(93.8%)で成功となっているが、鼓室形成術の行われた慢性化膿性中耳炎、外傷性鼓膜穿孔例などでは鼓膜穿孔閉鎖の成功は195耳中192耳(98.5%)であり、鼓膜穿孔の閉鎖という点からは鼓室形成術のほうが良いといえる。

一方で聴力改善の成功率を見ると鼓膜形成術では鼓膜穿孔が閉鎖した全例で聴力改善が得られているが、鼓室形成術を行った例では術後聴力の判定できた123耳のうち98耳(Ⅰ型85.4%、Ⅲ型変法57.7%、計79.7%)の成功に留まっている(日本耳科学会2000年聴力成績判定基準:気導・骨導差15dB以内、聴力改善15dB以上、聴力レベル30dB以内のいずれかを満たすものを成功例とする)。これはパッチテスト不良で耳小骨連鎖や耳小骨の可動性に問題がある症例が鼓室形成術の適応となっているためと考えられる。

真珠腫性中耳炎、なぜ段階手術か?

真珠腫性中耳炎は聴力低下、めまい、顔面神経麻痺や頭蓋内合併症を生じる可能性のある疾患である。このため真珠腫性中耳炎の手術においては真珠腫上皮の完全除去が第一の目標となる。手術において真珠腫上皮が残存するといわゆる遺残性再発となり、再び種々の合併症の危険性が生じる。また、炎症の強い中耳腔に伝音連鎖の再建を行った場合には中耳腔内の換気ルートが阻害され、再形成性真珠腫を生じやすくなる。このため、多くの施設では真珠腫性中耳炎に対しては段階手術が行われている。初回手術で真珠腫の摘出を行い、6ヶ月から1年後に計画的に第2回手術を行い、中耳腔の安定化した状態で遺残真珠腫の確認、摘出と伝音連鎖再建による聴力改善を図る。図のように初回手術前にはまったく含気の認められない中耳腔が第2回手術前に正常化することが理想であり、このような状態となれば聴力改善も容易となる。

一方で段階手術は2回の入院(初回:約2週間、第2回:約10日間)を要することで患者側の負担になることには違いない。このため当科では以下の3点の基準を満たす症例では一期的に伝音連鎖の再建まで行っている。この基準に該当するものは真珠腫性中耳炎新鮮例の約三分の一である。

一期的に手術で終了する基準

  1. 手術時に真珠腫上皮の完全摘出が確信できること
  2. 中・下鼓室の粘膜が正常であること(耳管機能が正常であること)
  3. 真珠腫より末梢側の乳突蜂巣粘膜が正常であること(粘膜換気が保たれていること)

真珠腫性中耳炎の問題

真珠腫性中耳炎では耳小骨が消失している例や残存耳小骨の可動性に問題のある例が多く、聴力改善という点では慢性化膿性中耳炎での手術には及ばないのが実情である。前述の耳科学会の判定基準ではⅠ型手術で81.8%、Ⅲ型変法手術67.0%(一期的手術:58.6%、段階手術:74.2%)、Ⅳ型変法手術(一期的手術:50.0%、段階手術:47.4%)の成功率に留まっており、さらなる伝音連鎖再建の工夫が必要と考えている。

もう一つの問題点として、再発の問題が挙げられる。遺残性再発や再形成再発のため3回目以降の手術が必要となる例が存在することも事実である。遺残真珠腫上皮を標的としての遺伝子治療なども研究されているが実用には未だ遠く、手術手技の向上のみが現状での解決手段である。

まとめ

当科における中耳手術の現況を報告した。慢性中耳炎の治療目標は永続的な耳漏停止と聴力改善、さらに真珠腫性中耳炎においては合併症の回避である。これらの目標を100%達成するために今後も研鑽する所存であり、諸先生方の引き続いてのご指導をお願いいたします。

表 中耳手術の内訳(平成13年4月~平成17年12月)

区分 人数 構成比
真珠腫性中耳炎 294人 41.9%
慢性化膿性中耳炎 182人 25.9%
慢性化膿性中耳炎、他(接着法)  96人 13.7%
中耳炎術後症 84人 12.0%
耳硬化症 15人 2.1%
中耳・鼓膜外傷 13人 1.8%
中耳奇形 9人 1.3%
その他 9人 1.3%
総 計 702人 100%

図 手術による中耳含気腔の形成

術前

術後

耳鼻科疾患について

PAGE TOP