尿路結石症
尿路結石症とは何ですか?
尿路結石症とは、尿路(腎臓から尿道までの尿の通り道)に結石(尿に含まれるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化したもの)ができる病気です。
結石のできる位置により、腎結石、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれます。特に「尿管結石」には、人生で味わう3大激痛と言われるほどの非常に激しい痛みが伴います。結石が尿管に詰まり、尿が流れなくなったり、逆流したりした尿が尿管や腎臓を圧迫することにより、痛みが生じると考えられています。



尿路結石症の特徴は何ですか?
尿路結石症は疼痛で発見されることが多かったのですが、画像検査技術の向上により、検診などで発見されることが増加しています。
当院でも、疼痛で救急外来を受診するよりも検診やかかりつけ医でたまたま見つかった結石での受診が増加しています。放っておくと、サイズが大きくなったり、疼痛や感染症、腎機能障害などの原因となるため、自然排石できない結石は手術などの積極的な治療を推奨しています。
尿路結石症は再発率が高いため、定期的な経過観察や再発予防対策が必要です。当院ではかかりつけ医と連携して、かかりつけ医で治療後の経過観察や再発予防対策を行っていただくようにしています。
尿路結石症の頻度はどうでしょうか?
人口10万人あたりの年間罹患率(1年間に尿路結石になる人数)は男性192人、女性79人で急増中です。特に近年は増加率が著しく、生涯罹患率(一生のうち一度は尿路結石になる人数)は男性15.1%、女性6.8%です。

男性は 7人に1人、女性は14人に1人が一生のうちに1度は尿路結石症に!
1年では男性は500人に1人が尿路結石になります!!
尿路結石症になりやすい人はどんな人でしょうか?
結石になりやすい人は肥満の割合が高く、高血圧、糖尿病、高脂血症の頻度が高いことが判明しています。いわゆるメタボリックシンドロームの人に多いということです。また、男性に多い傾向があります。
そのため、尿路結石症は生活習慣病の一つの疾患と考えられています。
尿路結石症診療ガイドライン

尿路結石症の症状はどのようなものがありますか?
主な症状
尿管結石の代表的な症状は、突如に出現する非常に激しい痛みです。疝痛(せんつう)発作と言います。肉眼的血尿も典型的な症状です。
腎結石自体は、無症状であることが多いのですが、腎結石の一部破片が尿管内に落下し、尿管結石となると疝痛(せんつう)発作が生じます。
その他の症状
- 吐き気、嘔吐
- 発熱
- おしっこをするときの違和感、残尿感、頻尿、高熱など
尿路結石症の診断にはどのようなものがありますか?
症状、尿検査、画像診断によって確定診断が行われます。
大きさや場所、尿路の閉塞状態も診断し、これらは治療方針決定の重要な情報となります。尿検査では、血尿の有無、細菌の存在などの診断を行い、画像診断には、レントゲン検査(KUB)やCT、超音波検査などがあり、患者さんの状態により選択されます。
結石の成分を分析することも重要で、再発予防策の検討に役立ちます。
主な診断手順の例

1.腎尿管膀胱単純撮影(KUB)
エックス線を使用した画像診断方法で、腹部単純エックス線撮影(腹単)と呼ばれます。造影剤 を使わず、腎・尿管・膀胱の状態を把握することができ、9割の結石が、この方法で診断することが可能です。
しかし、KUBで写らない結石もあります(尿酸結石、シスチン結石)。


2.CT検査
CT検査とはレントゲンを照射して、コンピューターで処理をして、身体の断面を画像化する検査です。
尿酸結石、シスチン結石でも診断可能です。


3.超音波検査
超音波を体の表面から当てて、その反射エコーを画像にして検査する方法です。結石の有無やサイズ、また腎臓の腫れ状態を判断します。


尿路結石症の治療法の選択は?
治療法は結石の大きさや場所によって治療方法が異なります。また、複数の治療方法を組み合わせて治療が行われる場合もあります。
4mm未満
自然に排石(おしっこと一緒に出る)される可能性が高く、排石を促す薬物治療を行います。
4mm以上
自然排石される可能性は低いため、体外衝撃波砕石術(ESWL)や内視鏡治療が選択されます。
治療方法の選択は、病気の状態(結石の位置、大きさ等)や患者さんの状況により変わりますので、担当医師にご相談ください。
1.自然排石/薬による治療
尿と一緒に排石を促す治療方法です。その際には、痛みを緩和する治療も同時に行われます。結石の成分によっては結石を溶かす治療も行います。
ただし、結石の大きさや成分によっては効果が無いものや、低いことがあります。すべての結石が薬で治療できるわけではありません。
2.体外衝撃波砕石術(ESWL)
体の外から衝撃波を当て結石を割る治療です。破砕した石は尿と一緒に排石させます。
この治療は外来治療が可能で、体への負担の小さい治療法です。反面、排石までには時間がかかります。結石の場所や大きさ、硬さによっては内視鏡治療を選択したほうが効果が高い場合もあります。



3.経尿道的結石砕石術(TUL)
内視鏡を使用した治療方法です。尿道から細い内視鏡を入れ、尿管または腎臓の結石をレーザなどの砕石装置で砕石します。治療効果の高い手術として近年増加中です。
入院期間は、数日~1週間程度です。



経尿道的結石砕石術(TUL)の流れ
- a. 尿道から、硬性/軟性の尿管鏡を挿入し、膀胱内の尿管口を確認し、尿管・腎盂へと進めて観察を行います(皮膚切開は必要ありません)
- b. 尿管鏡で結石を確認し、結石を見ながらレーザーで砕石します。
- c. 可能な限り結石片をバスケットカテーテル(結石回収の道具)や鉗子で結石を回収します。
- d. 手術後、尿管ステント(DJステント)と尿道カテーテルを留置します。
- e. 手術時間は1~2時間です(結石の数、大きさにより異なります) 。
経尿道的結石砕石術(URS;いわゆるf-TUL)の合併症
- 尿管損傷(穿孔、尿管断裂);尿管の壁に小さな穴があき(穿孔)、灌流液がおなかの中に漏れることがあります。穿孔の場合、尿管ステントの長期留置で多くは治りますが、程度が強い場合や尿管断裂の場合、引き続き腎尿管全摘術などの緊急手術が必要となることがあります。
- 他臓器損傷(尿道、膀胱、腎臓、腸管など)
- 再出血・術後出血、肉眼的血尿
- 尿路感染症、術後排尿障害、感染性ショック
- 尿道狭窄、尿管狭窄、水腎症など
- 血栓症(肺梗塞症、心筋梗塞、脳梗塞など)
- その他(非常にまれですが、生死に関わることがあります)
尿管ステントとは?
体内の尿路に入れる管(チューブ)のことです。手術後にステントを留置することで、尿路の通過障害などの深刻な合併症のリスクを低減します。また、発熱などの尿道感染や結石による痛みを取る際にも使用されます。

尿管ステントの役割
- 手術後の尿管のむくみを改善し、結石片の体外排出を容易にします。
- 尿の通過を良くし、感染リスクを下げます。
- 排石の痛みを軽減させます。
- 尿管の拡張をサポートします。
尿管ステント留置により発生する症状
- 側腹部・下腹部痛(膀胱内敏感部位に与える刺激より生じる)、発熱
- 肉眼的血尿
- 頻尿・排尿痛・残尿感・排尿困難感
尿管ステントの留置期間
術後数日~2週間程度、留置されます。尿管ステントは、必ず抜去する必要があります。後日、膀胱鏡を用いて、多くは外来で抜去しますのであらかじめご了承ください。

4.経皮的腎・尿管砕石術(PNL)
内視鏡を使用した治療方法です。背中に小さな穴を開け、その穴から内視鏡を入れ、腎臓の結石を砕石、取り出す治療です。TULとの違いは、比較的大きな腎結石に対して行われることが多い手術です。
破砕した結石片は、比較的短時間で体外に取り出すことができます。反面、腎臓に穴をあけるので出血や輸血のリスクもあります。
入院期間は、1~2週間程度になります。
合併症
経尿道的結石砕石術(TUL)と同じですが、頻度、程度は高く、非常にまれですが、生死に関わることがあります。

軟性尿管鏡を用いた内視鏡手術のイメージ

再発することはありますか?
尿路結石症は再発することが多く、再発率は2年で20%、5年で50%と言われています。
規則正しい生活/偏りのない食生活をおくること、水分をよく摂取すること(1日に2L以上)が予防策となります。
また、結石の成分によっては食事や内服薬で結石再発を予防できる場合があります。
当院ではかかりつけ医と連携し、かかりつけ医で定期的な経過観察や再発予防対策を行っていただくようにしています。
再発を予防する方法はありますか?
結石は、尿中の成分が結晶化してできます。体の水分が不足したり、尿が濃くなると結石ができやすくなるので、尿が濃縮しないように心がけてください。「食後にお茶を一杯よけいに飲む」ことを心がけましょう。
- 予防1:水分を1日2L以上取る(脱水を防ぎ、尿の濃縮を防ぐ)。
Good!/お茶、水、Ca
Bad!!!/塩分、シュウ酸、尿酸 - 予防2:適度に運動する。寝たきりの人は尿路結石ができやすい。
- 予防3:偏りのない、バランスの良い食事をとる。
カルシウムは必要量とり、脂肪は取りすぎないように。
シュウ酸や尿酸が多い食べ物は何ですか?
シュウ酸
ほうれん草、レタスなどの菜葉類、たけのこ、さつまいも、なす、バナナ、紅茶、 ココア、チョコレート、ナッツなど
※ほうれん草、たけのこなど、シュウ酸を多く含む食品は茹でるとシュウ酸が減少します。
シュウ酸はカルシウムと一緒にとると、尿ではなく便と一緒に排泄されるため、シュウ酸を多く含む食品は、カルシウムを多く含む食品と一緒にとることがオススメです。
尿酸
ビール、レバー、干物、カツオ、真鰯、さんまなど
尿路結石症の当院の治療実績は?(手術件数)
麻酔科のみ:生検、ステント留置、ESWLなど除く
外来治療を希望される方には
ESWLをお勧めしています(小さい結石例)

K768体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 19,300点
大きな結石、完全な砕石を希望される方には
手術を選択し、手術件数は増加中です

K781経尿道的尿路結石除去術 22,270点