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好酸球性副鼻腔炎

好酸球性副鼻腔炎とは

慢性副鼻腔炎はいわゆる「ちくのう症」のことで、鼻の奥にある空洞に「膿み(うみ)」がたまる病気のことを言います。症状としては、色のついた鼻水がでたり、鼻たけができて鼻づまりをきたしたり、嗅覚障害(においが分からない)を生じたり、鼻水がのどに流れて痰になったり、においが分からなくなったりすることもあります。抗生物質がなかった時代は、ちくのう症といえば、あおばなを垂らした子供(大人も)がたくさんいましたが、抗生物質が広く行き渡り、衛生環境が良くなった現代ではそのような「ちくのう症」は減り、かわりにアレルギーをきっかけに生じた好酸球性副鼻腔炎と呼ばれる慢性副鼻腔炎が増加しています。

現在、好酸球性副鼻腔炎患者は日本では2万人程度であり、20歳以上の成人に発症することが多いと言われており、再発しやすい病気です。一般的な細菌感染の副鼻腔炎(ちくのう症)には抗生物質が効きますが、好酸球性副鼻腔炎には効きません。手術を行っても早期に再発し、容易に完治できず近年増加しています。2015年からは国の指定難病となり、医療費の助成が受けられるようになりました。

なにが起こってるの?

この病気は鼻の粘膜や鼻たけの中に多数の好酸球を認めることから好酸球性副鼻腔炎と命名されました。好酸球というのは、もともとは寄生虫に感染したときに寄生虫を攻撃する血液中の細胞ですが、寄生虫がほとんどいなくなった現代では、全身の臓器を攻撃することでさまざまな病気が起きるようになってきました。

鼻の粘膜は気管の粘膜や耳の粘膜ともつながっているため、好酸球性副鼻腔炎だけでなく、気管支喘息や中耳炎を合併することがあります。鼻の粘膜が炎症によって腫れると、見た目がブドウの実のようになり、別名、鼻ポリープとも呼ばれます。適切な治療を行わないと炎症が長引き、鼻たけがどんどん大きくなって、ひどい鼻づまりを起こしたり、においが分からなくなったりします。

好酸球性副鼻腔炎の診断は?

血液の中の好酸球の数や鼻たけの中にある好酸球の数を顕微鏡で数えることで診断します。

耳鼻咽喉科を受診し、抗生剤や去痰剤など内服を行っても嗅覚障害や鼻づまりが治らない場合は、鼻たけが生じている可能性があります。レントゲンやCTで確認する必要があります。

好酸球性副鼻腔炎の治療

ステロイドや手術、免疫治療などが治療法とされています。

ステロイドは好酸球性副鼻腔炎に対して有効な治療とされていますが、糖尿病、高血圧、骨粗しょう症などの副作用の問題があり、長期間の内服ができません。そのため、手術で鼻たけなど病的な粘膜を減量除去することが必要となります。ここでは鼻の手術について説明します。

手術

鼻の手術は1980年代より普及された内視鏡によって、鼻の穴から低い侵襲度で行うことが可能になりました。

内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS:Endoscopic Sinus Surgery)

内視鏡を鼻の穴から入れて、鼻の中をモニターに映しながら手術を行います。

副鼻腔は上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞の4種類あります。それぞれの空間がマンション部屋の様にあちこちに壁があり、それに個人差があるため、手術前に副鼻腔CTを撮影し、その構造の把握が必須になります。

好酸球性副鼻腔炎の手術の目的は、①4種類それぞれの副鼻腔を隔てている壁を取っ払って、一つの空間にすることで、鼻の中の換気を良くすること、②ポリープ化した粘膜を減量・除去し、鼻粘膜を再生させ正常な働きを促すことです。このため手術範囲が広く、全身麻酔手術で約5日間(当院で行う場合)の入院が必要です。

鼻中隔矯正術

鼻中隔は左右の鼻を隔てている境で、軟骨や骨が粘膜に挟まれて構成されています。

その軟骨や骨が弯曲していることで鼻づまりや嗅覚障害の原因になるため、弯曲している軟骨や骨を摘出します。内視鏡下鼻副鼻腔手術と同様に内視鏡で行うため顔を切開することはありません。

粘膜下下鼻甲介骨切除術

鼻づまりの改善目的に、鼻中隔矯正術とセットで行うことが多いです。

鼻の穴の入り口に近いひだを下鼻甲介といい、ひだの中にある骨を摘出することでひだのボリュームが減るため、鼻の中の通りが良くなります。手術後、出血しやすいため当院では入院のもとで行うようにしています。

ナビゲーションシステム

当院では正確かつ安全な手術を行い、手術時間の短縮もはかるためにナビゲーションシステムを導入しています。これは術前に撮影したCT画像と内視鏡の映像を照らし合わせながら、カーナビゲーションのように現在どこを触っているのかが把握できるシステムです。副鼻腔は眼球、頭蓋底、視神経などと接しており、常に正確な解剖学的な位置を把握することが重要であり、手術難易度が高い再手術の症例や内視鏡で確認しにくい症例でも安全に行うことができます。

好酸球性副鼻腔炎は難病であり、完治することは困難です。しかし、命をとられる病気ではありません。きちんと治療を行うことで、症状が良い状態を少しでも長く続けさせることは可能です。

鼻閉、嗅覚障害の症状も命をとられることはありませんが、日常生活の質を著しく低下させます。そのような症状の時は決して我慢せず、お近くの耳鼻科まで気軽にご相談ください。私たちも皆様の日常生活がより良いものになるようにお手伝いさせていただきます。

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