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耳鼻科疾患について

当科では幅広い耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患に対して、全国標準以上のレベルで診療を提供することを目指しています。

慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎

慢性中耳炎は急性中耳炎を繰り返すことで起こります。鼓膜に穴が開いて、耳漏を反復したり難聴を来したりします。小さい穴なら自然に閉じることもありますが、何回も繰り返すと永続的な穿孔になり、重症になると奥の耳小骨が壊れてしまうこともあります。

また、慢性中耳炎の中でも真珠腫性中耳炎は、中耳で皮膚が真珠のような形に増殖して炎症を起こします。鼓膜の一部が奥に入り込み、アカのようなものがたまり、耳小骨をはじめ周囲の骨を壊して広がっていきます。真珠腫が細菌に感染すると三半規管に影響してめまいがしたり、顔面神経麻痺や髄膜炎などの合併症を引き起こして重症化したりすることがあります。

鼓室形成術は、この慢性中耳炎が主な対象です。手術の目的は、耳から膿が出る耳漏を止めることと聴力を回復することです。しかし、これらに対する成功率は100%にならないのが現実です。鼓室形成術を行う医師は誰もが手術成功率100%を目指し、手術手技の向上に取り組んでいます。当科では成功率を高めるための方策として「外耳道削除型鼓室形成術・外耳道再建術」という術式を採用しています。年間の手術件数は170~180件で全国でもトップレベルの手術件数となっています。

手術では、耳の後ろを切開し側頭骨を削って鼓室を形成します。鼓膜に穴が開いている場合は、耳の骨膜や筋膜から鼓膜を再生します。顕微鏡を使う繊細な手術ですが、全身麻酔で1時間から1時間半くらいで終わります。鼓膜が再生するまで10日程度の入院が必要です。さらに、両耳罹患例に対しては積極的に両耳同時手術を行い、全国的にも高い評価を得ています(文献1)

真珠腫性中耳炎は、真珠腫が少しでも残ると次第に大きくなって再発します。そのため、一般的には段階手術といって1回目から約1年後に2回目の手術をします。この手術時、真珠腫がないことを確認し、残っていれば取り除いて鼓室を形成します。2回に分ける人が3分の2、3分の1くらいは1回の手術で終わります。

聴力を十分回復させるには、やはり早期発見が肝心です(文献2、3)。聞こえが悪いなと感じたり、耳に痛みがあったりするときは、早めに受診することが大切です。

鼻中隔弯曲症・アレルギー性鼻炎

鼻中隔弯曲症に対しては、鼻中隔矯正術を行っています。必要に応じて粘膜下下鼻甲介切除術と後鼻神経切断術を併施しています。鼻中隔弯曲症による鼻閉で悩んでいる方の一部では、鼻腔前方まで鼻中隔が弯曲している場合があります。この場合、一般的に行われているKillian法という術式では治せません。当科ではHemitransfixion法という方法を用いて、前方の部分を含めた弯曲を矯正することで、良好な手術成績をあげています(文献4)。また、アレルギー性鼻炎重症例に対しては、後鼻神経切断術を行っています。当科での後鼻神経切断術は、一般的に行われている蝶口蓋孔付近よりも末梢で神経が枝分かれした箇所を選択的に処理する方法であり、術後出血のリスクは低く、安全な術式です。全身麻酔下の手術で3〜5日間の入院が必要です。翌朝、鼻内のパッキング(詰め物)を除去します。パッキングはエピスタキシス(粘膜に対する刺激が少ない素材)を使用しており、抜去時の疼痛は軽度です。

慢性副鼻腔炎など

慢性副鼻腔炎に対しては、内視鏡手術により副鼻腔の開放と清掃を行っています。当科では、粘膜下下鼻甲介骨部分切除という方法により、開放した副鼻腔の換気状態が十分に保たれため、良好な手術成績をあげています(文献5)。好酸球性副鼻腔炎等の重症副鼻腔炎に対してはナビゲーションを使用してより確実な副鼻腔の開放を目指しています。真菌症に対してはハイドロクレンズ®(シャワー状の洗浄器械)を用いて清掃を行っています。また、以前は鼻腔内からのアプローチだけでは困難なとされてきた前頭洞病変、上顎洞病変、眼窩底骨折などに対しても、可能なかぎり、鼻腔内からのアプローチによる手術を行っています。全身麻酔下の手術で3〜5日間の入院が必要です。条件を満たせば日帰り手術も可能です。パッキングは止血、抗菌および創傷治癒促進効果がある特殊な綿を使っています。以前はパッキングの抜去に苦痛を伴っていましたが、特殊な綿は抜去せずに退院となるため、苦痛が大幅に軽減されています。なお、特殊な綿の大部分は鼻洗浄等で徐々に排出されますが、残った場合は1~2週間後に除去します。おり、抜去時の疼痛は軽度です。

嚥下障害

嚥下障害は当院入院中の方が主に治療対象となります。嚥下チームが必要に応じて病棟内を回診し、当科では嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査、酒石酸咳反射テストを通して同チームと関わりを持っています。ワレンベルグ症候群などで咽頭期レベルでの嚥下障害を生じた方に対しては、経口的輪状咽頭筋切除術を行い、より低侵襲な嚥下機能改善手術を行うことがあります。高度の嚥下障害により嚥下性肺炎を繰り返している方に対しては、侵襲の大きな喉頭摘出術や合併症の多い喉頭気管分離術ではなく、声門閉鎖術により、低侵襲で合併症が少ない誤嚥防止手術を目指しています(文献6)。なお、当科に入院した上での嚥下リハビリという取り組みは行っておりません。

突発性難聴

程度にもよりますが、必要と判断した場合は、通院の上、高気圧酸素療法による治療を行っています(計5回)。

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